教員養成・育成

子どもの主体性を育む

「主体的・対話的で深い学び」を実現している人とはどのようなイメージでしょうか。私たちはしばしば、「学ぶ」ということを継続していこうとする志や意欲溢れる人と出会うとき、その人に敬意の念を抱くとともに、そのような生き方に触発され、自分自身の在り方を模索することがあります。学ぶ意欲のある人、それを継続する人は、その人ならではの固有の常識と判断力、自分にとって甲斐のあるものに集中し、それを生活における様々な条件のなかで適切な決定を繰り返し、他と共に協調しながら学びに向かっている、まさしく生きる力を保持し、それを体現しているように感じます。

 

このことに関連して、教育哲学者のジョン・デューイ(John Dewey、1859‐1952)は、「あらゆる教育学的な誤りのうちで最大のものは、人はその時点で学ぶ特殊な事柄だけを学習しているという考え方である」と述べています。「特殊な事柄」とは、教科等の知識・技能に当たる事柄です。教科等の知識・技能のみならず、「学ぶって面白い」「〇〇という教科等が好き、もっと追求したい」といった態度の形成こそ、将来において基本的に重きを為すものと考えているのです。

 

デューイは、教科等の特殊の事柄を否定しているのでなく、それに固執せず、教科等の枠組みを超えて立ち現れる情動が「学び」の根源的なものと捉え、それを「附随的な学習」と定位し、経験の積み重ね、連続性を説いたのであります。経験」とは、環境そして教材や教具といった物的なものを媒介とした、子供と教師との相互作用との捉えです。また、デューイは、学習者である子供たちは生来アクティブ(活動的・能動的)な存在であるとの認識に立ち、子供たちの「興味」というものを重視します。その「興味」とは、「話したい」「作りたい」「伝えたい」「より美しく」の4つが中核を成します。

 

デューイなどの経験主義の考え方は、現在の教育の根底にあるといっても過言ではありません。そうした考え方は戦後多くの教育者に認知され、集団の中で為すことによって学ぶ「特別活動」、体験を通した気付きや自立の基礎を培う「生活科」、教科を横断し自ら学び自ら考え探究する「総合的な学習の時間」の創設へと動き、今やその存在価値や意義は共有されています。各教科等において子供たちの関心、興味を大切にした問題解決的な学習指導は初等教育段階を中心に全国的に広く展開されており、その取組の成果は全国学力・学習状況調査結果という数値でも検証されています。

 

”子どもの主体性を育む”ことが大切にして、学び続ける教員を養成・育成できるように、わたし自身も一層学びを深めていきます。