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学びの文脈を創る 国語科教育

今般の学習指導要領の要諦は、学習者が「何ができるようになるか」という視点で資質・能力を三つの柱で整理したことにあります。教師が「何を教えるか」という視点は不変です。今後は、一人一人の子どもという学習者が学ぶ価値や意味を見いだしながら、資質・能力の獲得を目指して、主体となって自らの学びを創っていくという考えを中心に据えた教育の在り方を一層推進することが求められています。

こうした要請について、私は「学びの文脈を創る」ことを主張しています。教師は、学習者にとって現在から未来にわたって必要となる資質・能力を捉え、そこに向かって学習者が「どのように学ぶか」というプロセスに意図的に関わっていく、子どもの学びがどのような方向へ動いていくかに思いをめぐらし、授業の中にしかけや揺さぶりを用意したり学習の流れを複線化したりするのです。学習者が動いていく、様々に“思考し判断し表現していく“ときに必要となるのが、“知識・技能”です。それを目的や必要に応じて適時的確に習得できるよう、教師は先手を打ち前面に立って教えたり、じっくりと考えさせ議論させた上で学習者に発見させたりするなど、教師の立ち位置や出番を随時検討し修正し、教科の本質に迫る深い学びへ誘っていく営みが「学びの文脈を創る」ことであり、このことは今後一層重要な視点であると考えます。

学びの文脈」という用語を定義付けると、次のように整理できます。

学習者が学びの有意味を保持し、教育を成す側と共にその学びの連続性や発展性を考慮する中で、学習者に資質・能力の拡張と共創を生み出す営み

文脈とは、辞書的な意味では“文中の語の意味や文章中の文と文などの続きぐあい”のことを指します。これを「学び」という概念で捉えた場合、それは学びの連続性や発展性のことであり、教科等を横断する汎用的能力につながります。学びの文脈を創るには、語と語、文と文、段落と段落の整合を検討するように、「何と何」をどのようにつないでいくかが論点となります。そうした検討が国語科カリキュラムの開発、そして言語能力を核としたカリキュラム・マネジメントにつながっていくのです。

OECD Education 2030 プロジェクトでは、「文脈」(コンテクスト)に関わり、次のような説明をしています。

子供たちが生活のあらゆる側面において積極的な役割を担っていくためには,様々なコンテクストを超えて,不確実性の中を歩んでいくことが必要である。そのコンテクストは, 時間軸(過去,現在,未来)であったり,社会的な空間(家族,コミュニティ,地域,国,世界)であったり,デジタルの空間であったりする。

世界の潮流を意識し、よりよい未来をつくっていくためには、学びの文脈を時間軸やデジタルを含む空間軸という観点から揺さぶっていく必要があります。国語科教育は、相手や目的、意図や状況に応じて、習得した知識・技能、思考力・判断力・表現力を総合的に発揮する実の場を工夫し、それらを拡張させていくことが一層重要です。真正の学びやPBLの展開には、文脈の中で生きて働く言葉の力が必須です。とりわけ言語感覚は、言葉の不確実さや脆さを抱えもちながら育成されるものです。国語科教育は、発達の段階に応じた能力系統を意識しつつ、学習者の視座を立った学びの文脈を創っていくことが重要です。

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